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現代の子どもとおもちゃと環境

 あなたはどのようなおもちゃで遊んで育ってきたか思い出せますか?このページをご覧になっている方の年代も様々でしょうから、おそらく年代によってイメージする玩具も違うかも知れませんし、長年ベストセラーになっている玩具を同じように幼少期遊んだ方もいるでしょうね。最後の項目として「現代の子どもとおもちゃと環境を」を取り入れたのは、日本のおもちゃ文化を改めて考え、普段は意識していないような玩具に対する価値観について考えてもらう為です。
 なぜ、このような事を述べるかというと、私もそうでしたが、日本のおもちゃ文化を掘り下げてみると時代背景が分かり、それがわかると私たちが遊んできた玩具がなぜ流行ったのか、好きだったのかが分かるのです。そして、自分たちの過去の玩具との関わりと今子ども達が置かれている現代の玩具との関係性を考えてみた時に、たいして変わりなく見えたり、危機感を持たなければいけないほど大きく変わっていたりすることがわかります。
 
 
 【過去のおもちゃ史を振り返る】 
 
 明治の中頃までは、子ども達の遊びやおもちゃにも、江戸期の伝統的な遊び文化が息づいていました。 しかし、20世紀に入ると日本の国力が上昇し、おもちゃも舶来玩具に影響されたブリキや鋳物などの近代的でハイカラなおもちゃが出回るようになりました。
 
 世界恐慌で幕を開けた昭和。この危機の中で輸出の柱とされたのが玩具でした。 玩具産業は、セルロイド、ゴム、金属へと主力の素材を変化させながら、めざましく発展し第一次黄金期を迎えます。 玩具の世界への進出が遂げられる中、国際親善の先駆けである「青い目の人形交流」も行われました。 しかし、戦争が近づくと、おもちゃも次第に戦時色に支配されていきます。金属、ゴムなどは統制を受け、紙、木、竹製の玩具だけ が細々と作られる状態となり、果ての無い戦争の激化によって、おもちゃは冬の時代に突入したのです。
 
 戦後の日本経済の立役者として、玩具産業は急速によみがえり、輸出産業の花形となりました。 1960年代の高度経済成長およびテレビを軸とするマス・メディアによる大衆消費社会の成立は、玩具産業にかつてない活況をもたらします。 特に、1960年代のプラスチック・ビニールなどへの素材革命は、玩具の大量生産・大量消費を相乗的に加速させ、 日本の子ども達に主眼をおいた目新しいおもちゃが、次々と世の中に送り出されていきました。 しかし、1973年のオイル・ショックを契機に、省資源・省エネルギーに対応でき技術革新(半導体技術の採用)と、 社会的要請に対応できる付加価値の創造という新しい課題を受け、おもちゃは更なる転換を迫られました。
 
 1970年代末には半導体導入によるおもちゃのハイテク革命が実現しました。 1979年のインベーダーゲームの登場は、ハイテクゲーム時代の到来を告げるベルとなりました。 また1983年に任天堂が発売したファミコンの急激な普及は、子どもの遊び文化を決定的に変えたといえます。 そして、現代では、デジタル玩具を中心に、おもちゃの枠を超えたハイテク化・高度化の技術革新が進む一方、 ホビー玩具など、子どもだけでなく、大人が遊ぶことを目的とした新しい価値観をもったおもちゃが登場しています。 また、子ども文化と大人文化と境界が不鮮明になると共に、子ども文化の代表格であったマンガ、アニメ、テレビゲームなどが、 日本発のカルチャーとして認識され、世界の国々向けて発信されています。
 
 このようにおもちゃ文化について掘り下げてみると、各年代の経済状況や技術革新によって遊びが全く違う事がわかります。私の場合は、1988年生まれなのでちょうどファミコン全盛期。5歳の頃にはスーパーファミコンが登場していて、マリオシリーズなどのゲームに夢中。小学生の頃はポケモン大ブームで盛り上がりました。でも、今考えるともっと違う事をすれば良いのに・・・と思う事もあるのですが、運動も得意ではない方だったので室内でそんな風に過ごしていました。幸いなことに私には二人の弟がいたので、秘密基地を作ったり、かまくらを作ったりして遊んだりもしてましたけどね。でも、一人っ子だったらもっとゲームの世界に没頭していたかも知れません。。。
 
 
【近年のおもちゃ文化とキャラクター】
 
 過去のおもちゃ文化について触れると、近年では当たり前の「キャラクター」 というものが日本が世界に発信している文化という事がわかります。おもちゃ屋に行ってみると分かりますが、パッと見ると何かのキャラクターの商品が棚を独占していて、また違う棚を見てみると違うキャラクターの棚で出来上がっている。これは日本のおもちゃ屋であれば、ごく自然な光景になっていると思いますが、この光景について疑問に思う方が多ければ幸いです。
 
 私はキャラクターになっているおもちゃについては基本的に反対です。何故なら、キャラクターのおもちゃで遊ぶことは外見のキャラクターのイメージで物事が進んでいく事がほとんどだからです。例えば、ピカチューならピカチューなりの、アンパンマンならアンパンマンなりの遊びのイメージとしての遊び発展の仕方がほとんどで、自分で考えて模倣するという訳でもなくなってきます。
 子ども同士の遊びをみていると5歳の子同士で訳の分からない言葉でやりとりするごっこ遊びをしていたり、まだ言葉が覚えて間もない3歳の子どももそんな風にごっこ遊びをしたりしています。5歳の子ならもっとやりとりのある遊びや工夫して考え想像する遊びをしても良いと思うし、3歳の子は相手に伝わるような言葉をこれから覚えていかなくてはいけないのに、頭の中にキャラクターがいるとそればかりになってしまう子もいます。“ごっこ遊び”は楽しいけれど、実際の見たことや感じた経験が伴ったごっこ遊びでないと、それは本当の意味でのごっこ遊びではなくなってしまいます。
 
 しかし、近年はおそらくこうした子どもの遊び(キャラクターなどの真似をした遊び)の姿について疑問に思わない大人も増えてきているのだと思います。それは近年のおもちゃ文化で育ってきた世代が親となっているからです。そして、そういう文化の中で育ってきた大人がおもちゃ屋に行き、キャラクターばかりのモノがあっても特別疑問に思う事もないし、むしろそういう文化で育ってきたから同じように抵抗なくキャラクターのある玩具を買って育てようと思うのも、自然と言えば自然です。でも、それは玩具そのものの良い・悪いは別として、時代が作ったおもちゃに対する価値観であり、文化です。私はそれに染まる染まらないの選択肢がある事に気が付いて欲しい。そして、遊びの本質を考え抜いて店頭に置かれているモノがどれだけあるか。。。
 
 例えば、「知育」という謳い文句で色々な遊びが出来るような事を書いてある玩具でも、発色がやたら強いモノは子どもの為というよりも大人の購買意欲に働きかける部分が強い部分がありますし、一つの玩具に色々な機能がついている多機能の玩具も、色々付いているが故に注意が散漫になって逆にじっくり遊べないという事もあります。
 最近ではいわゆる“スマホ”の登場によってスマホが遊びにも浸食しているのです。これは実態がないのに操作が出来てしまう。私たちが普段過ごす中で当り前に身体の色々な所が正常に機能しているのも、子どもの遊びによって知らず知らずのうちに訓練された結果です。でも、それを疎かにして育っていく子どもはどうなってしまうのか・・・。考えただけで恐ろしいですね。

 つまり、実際に遊ぶ時に“こういう手触りなんだ”、、“これはこんな音がする”、“あ、こんな風に動くんだ・・”とどんな玩具なのかがわかりやすい遊びの本質を感じることが出来るおもちゃが良いと思います。
 
 マンガ、アニメ、TVゲームなどの日本の代表的な文化はこれからも独自の進化をし続けると思いますし、それで良い思います。でも、子どもにとってはどうしても受容的な媒体になりがちなので、その玩具の必要性をきちんと考えて、購入されると良いですね。
 
【玩具を購入するうえでの環境】
 
 日本の多くのおもちゃ店では、1960年代の高度経済成長およびテレビを軸とするマス・メディアの大衆消費社会の成立による流れから現代に至るまでその流れはいまだにあり、いわゆる「戦隊シリーズ」「仮面ライダーシリーズ」などを中心とするメディアを軸にした商品展開方法が多いです。なので、親子でおもちゃを買いに行くと、普段からTVを見ている子どもは目を輝かせてこれが欲しい!とそうした玩具を欲しがったり、CMで見る流行りのゲームを欲しがるのです。でも、この流れは日本独特で、例えばドイツのおもちゃ屋にはTVゲームはなく、代わりに「TVゲームショップ」というものがあり、おもちゃ屋には多くのボードゲームのようなアナログゲームや動物のぬいぐるみや日本にはないような自然に興味が持てるような玩具が沢山あります。そういう環境の中で子どもはおもちゃを購入する事を考えようとするので、大人もそのおもちゃ屋に行けばある程度安心という訳です。
 
 しかし、日本では「日本独自の文化」があって、そうしたおもちゃ屋さんはなかなかいかないですよね。でも、このページを見ている方はパソコンやスマホを持っていると思いますので近くにおもちゃ屋さんがなければ、ネットで買った方が良いと思います。買い物に行った先のお店でなんとなく子どもにねだられ、たいして考えもせず買ってしまうより、何倍も良いです。または、ネットで近くのおもちゃ屋さんを探してみると意外とあるかも知れませんね。やはり、玩具は手に取って、遊んでみないと自分の感覚の中に残りません。ネットでいくらレビューをみてもわかりにくいものはいっぱいあります。なので、出来ればお店まで行ってみると良いでしょう。
 
 札幌及び近郊の地域にお住いの方であれば以下のお店がお勧めです。
・よい本とよいおもちゃの店 ろばのこ 
・BROTHER SUN / SISTER MOON  
・小樽・ヨーロッパ玩具のお店|Hands on Toy's キンダーリープ
 
以上、「現代の子どもとおもちゃと環境」でした!
 
 
参考文献 「おもちゃの歴史」
日本玩具文化財団 2010 
http://www.toyculture.org/toy.html(参照 2016‐5‐19)
 
 
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