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おもちゃ作家の歩む道
おもちゃ作家として生きていく。おもちゃを通したものづくりは、あらゆる世代を超えてこれからの時代を作る礎になる。
子ども頃にあった未来に対する希望。
大人になった今はどうだろうか。
人はいつの時代も次世代へ繋ごうと生きる。
輝かしい良い未来の為に。


■「工作芸術空間 アートギャラリー」 おもちゃづくりを通して考える‟SDGSとしての思考”とものづくり
■「工作芸術空間 アートギャラリー」 おもちゃづくりを通して考える‟SDGSとしての思考”とものづくり 2023.3.7
・アートギャラリーでは、木の実や落ち葉などの自然素材をはじめ、普段はゴミとして捨てるような空き箱、曲がった鍵、いらなくなった服の切れ端、ペットボトルの蓋など工作に使えそうなものを取り揃える。今、小学校〜高校までの義務教育の現場では、SDGSに対する教育的な取り組みが年々盛んになりつつある。世界が気候変動や資源の枯渇、生物多様性の喪失など危機的な状況に見舞われている。そうした話が小学校教育から行われているとすれば、Z世代を中心にそうしたSDGSに対する意識が高いのも頷ける。
SDGSとしての思想が強いからアートギャラリーを始めた訳ではないのだが、思い返すと自分自身の作家性はSDGSの精神が作品の中で根強くある。mmw2も木端材で構成された街と作品の表現であるし、製品を考えても必ず同じ形にしなくてはいけないような決まりを設けていないので、どんなに小さな木端材もビー玉と合わせてオーナメントにして販売する。SDGSを日常の中で意識するような場面というのは、SDSGの掲げる「17のゴール(到達点)と169のターゲット(小目標)」の幅が広く、どれを指すのかが分かりにくいという感じもある。ただ、SDGsの「持続可能な」という部分は、‟人間の活動が自然環境に悪影響を与えず、その活動を維持できること”という事を指しているので、具体的な目標を考えすぎるよりも、自分の日常生活が持続可能な社会の取り組みの一部として捉えると分かりやすい。
アートギャラリーはまさに日常の廃材をゴミとせず、活かすような試みとして親子でSDGS思考に触れてもらう機会とも言える。むしろ、子どもの方がそうした感覚は義務教育の中で学んでいることが多く、意識が高いかも知れない。そして、大人の方がデジタルデバイスを使い続けている日常であるから、そもそも家庭環境としてよほど工作する為の意識が高くないと、日常で出る廃材が何か遊びに活用できるという所まで結び付かないことを考慮すると、アートギャラリーにおける工作をする意義は高いものになる。
SDGSという堅ぐるしい言葉だとなかなかとっつきにくいが、捨てるはずだった廃材を手作りおもちゃやアート作品として生まれ変わることを体感することが実際一番わかりやすい。ゴミという認識から素材という認識に変わる。そして、そのままゴミになった先はどうなるのか、ゴミとして捨てられるだけじゃなく再生する道もあることなど、改めてそうした気付きが得られ、自分が生きている日常以外の世界にも目を向けるキッカケになるだろう。教育は教え伝えることよりも自分で体感したり、共に経験したりする方が印象深く、実になるものである。
デジタルの進化が目まぐるしいからこそ、木のおもちゃに触れさせたいという親の願いがある事にアトリエを運営しながら気付いた。やはり、どの家庭もデジタル製品ばかりで遊び過ごす子どもの未来に少なからず不安を抱いている。そういう意味では屋外に連れ出して、自然の中で過ごす経験をしていくことが子どもの育ちにとって重要な要素のひとつになるということを推奨したい。おもちゃ作家としての活動は、そうした土台の上で成り立っているように思うからである。ただ、そうした自然環境や屋外で遊べる場所が少なく、屋内の遊びが多くなっている実情を考えると、どんなものを作るかをイメージし、自分の手先を使って道具を使いこなし、価値として見ていなかったものを自分にとって素晴らしい価値のある物に変えていく‟ものづくり”は、単に木のおもちゃに触れさせるだけではないその子自身の手業として残っていく良さがある。
そして、ものづくりをしていく一連のプロセスは社会に出た時のPDCAサイクル‟Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)”に共通している部分があるので、ものづくりをしていること自体が結果的に社会に順応していく能力に繋がる。能力開発の為にものづくりを推奨するということではないが、廃材を使ったものづくりであれば、SDGSを学び、知らず知らずのうちに自分の中でPDCAサイクルを回し、遊びを通しながらよりクリエイティブなアイデアを自分の思うがままに作りあげる工程が身に付くということになる。
ただ、あまり難しく考えすぎず想いのままにまずはものづくりに取り組んでみてはどうだろうか。まずはそこがスタートラインで、ものづくりが日常的にできる環境があると、子どもは自ら工夫して意欲的な取り組みをしていく。アートギャラリーはそうした何かを探している人にとってのキッカケになって欲しいと思う。
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